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zoom RSS 音名は、なぜ「ABC・・・」から始まらないのか

<<   作成日時 : 2018/04/10 23:20   >>

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●音名が「CDE・・」から始まる理由
芥川也寸志「音楽の基礎」によると・・・
「音にの固有の名前(音名)を付けることは、古代ギリシャですでに行われていた。その後さまざまな変異をたどったが、今日の音名の基礎を作ったのは、中世最大の理論家であり、優れた音楽牧師であったグィード・ダレッツォであった。彼はそれまでの音名が、2オクターヴにわたって、「ABCDEFGHIKLMNOP」(Jはのぞく)と命名されていたのを、1オクターヴ(A・・・G)に改め、(中略) それまでのAが、現在のCにあたる音であったのを現在の位置に移した。それまでのAを2つ下の音に移したかを正確に知るには、中世音楽の基礎をなすヘクサコードについての知識が必要となるが・・・、中央のCがAと呼ばれない理由、すなわちなぜグィード・ダレッツォが、それまでのAを2つ下の音に移したか(中略)、もっとも単純な理由としては、当時の実用的な声楽の音域がG−e´´であったため、グィード・ダレッツォがGにあたる最低の音にΓ(ガンマ)をあたえ、その次の音からABC・・・と名付けたのである。」
・・・と書かれていました。
※補足:「J」の文字が無い理由は、ラテン語では「I=J」で発音はどちらも「イー」だったため。

●現在のC音は、11世紀以前はA音という名前だった
中世以前(グィード・ダレッツォ以前)は、A(旧A音)を起点に2オクターヴに「ABC・・・NOP」の音名が付いていた。
その当時は、名前が付いていた音は旧A音が最低音で旧A音よりも低い音には名前が付いていなかった。しかし、声楽的には、旧A音よりもさらに3つ下の音が出せた。だがそれらの音(=旧A音よりも低い音)には名前が無かった、ということになる。
そこで、グィードが最低音の旧A音の音名を2つ下に下げた。
つまり、それまでの旧A音だった音が新C音の音になったことになる。
そのとき、2つ下がった新A音よりさらに1つ低い最低音にΓ(ガンマ)の音名を付けた。この音が現在の低い新G音になっている。そして、その音から1つ上の音から新ABC・・・となり、現在の新ABC・・・の音になった。
音を2つ下げるとともに、2オクターヴにわたっていた「A〜P」の音名を、低いオクターヴから「ΓABC・・abc・・aabb・・ee」と20音を表記した。

これらの関係をまとめると・・・
旧:−−−ABCDE・FGHIKLM・N O P
新: ΓABCDEFG・abcdefg・aa bb cc
の関係になっている。
※「−」は音名が無かったことを示す。「aa bb cc」は「a’ b’ c’」との表記もある。「・」の記号は無視してください、上下をそろえるために挿入したものです。

●グィード・ダレッツォは「ドレミ・・・」でも有名
グィード・ダレッツォは、「ドレミ・・・」の階名を作ったことでも有名だ。
当時は楽譜から読みとって歌えるようになるのに、非常に苦労していたようだ。
階名と言うものがなく、音名をアルファベット名で呼ぶしか手段がなく、それ(ABC)を曲に乗せて歌うことなどは普通しなかったようだ。
それぞれの音に発音しやすい「ウトレミ」の音節を当てること(ソルミゼーション)で、楽譜を見て歌うことが大変に便利になった。
もっともグィード・ダレッツォが、11世紀に付けた名前は「ウト、レ、ミ、ファ、ソ、ラ」で、
「ウト」が「ド」になったのは16世紀ごろ、「シ」が加えられたのは17世紀になってから。
なぜ、「シ」の階名が無かったのか?ですが、当時は「ヘクサコルド」と言われた6音の音階を使っていたためです。つまり、17世紀になるまで必要がなかったということになります。
※補足:ソルミゼーションの語源は、「ソ-ミ」(「ut、re、mi、fa、sol、la」のsol-mi の)「sol」の次の音を「mi」に乗り換えたことに由来。

●3種類の「ウトレミファソラ」
現在では、「ドレミファソラシ」の次はまた1オクターブ高い「ドレミファソラシ」になるのが当然のこと、と思っていますが、当時は現在のように7音が基本の単位ではなく、6音が基本の単位の「ヘクサコルド」だったんです。
では、「ウトレミファソラ」の続きは? 高い「ウトレミファソラ」?・・・ではないのです。
じゃあどうなってたの?と疑問に感じると思いますので、説明します。

「ウトレミファソラ」の隣合う音同士の音程関係は「全音、全音、半音、全音、全音」になっている。ちょうど真ん中の ミ、ファのところだけ半音で他は全て全音。このことを頭の隅に置いておいて・・・
実は、「ウトレミファソラ」は、3種類の「テトラコルド」に与えられたのです。
@自然なヘクサコルド〜「 C、c から始まる6音」の「ウトレミファソラ」
A堅いヘクサコルド〜「 Γ、G、gから始まり「堅い b」を含む6音」の「ウトレミファソラ」
B柔らかいヘクサコルド〜「 F、f から始まり「柔らかい b」を含む6音」の「ウトレミファソラ」

※補足:「堅い b」は現代のBナチュラルを、「柔らかい b」は現代のBフラットを意味する。当時は「♭、♮、#」の記号はまだ無かった。「堅い」は「b」を曲線を使わずに四角く角ばって表記したことに由来する。「柔らかい」は「堅い」に対して「b」を曲線で表記したことに由来する。後に、この表記により「柔らかいb」から「♭フラット」が生まれ、「堅いb」から「♮=#」が生まれた(最初は♮と#は同じ意味、後に分かれた)。さらにドイツでの「堅いb」から「H」が「柔らかいb」から「B」の表記が生まれることとなった。

上のB「柔らかいヘクサコルド」には「柔らかいb」が登場しますが、「全音、全音、半音、全音、全音」のヘクサコルドの音程を確保するためには「bフラット」にする必要があったためです。

このように3つの「ウトレミファソラ」が存在するため、整理のためその関係を低い音から順に示すと以下のとおりです。
※注記:以下は「ウト→ド」「ファ→フ」と表記します。
※「ドレミ」は縦に見てください。ドレミの上の@、A、Bはそれぞれ「自然な」「堅い」「柔らかい」で、上の方の説明に対応しています。

・・・・A 
Γ・・・ド
A・・・レ
B・・・ミ・・・@
C・・・フ・・・ド
D・・・ソ・・・レ
E・・・ラ・・・ミ・・・B
F・・・・・・・フ・・・ド・・・A
G・・・・・・・ソ・・・レ・・・ド
a・・・・・・・ラ・・・ミ・・・レ
b柔・・・・・・・・・・フ
b堅・・・・・・・・・・・・・・ミ・・・@
c・・・・・・・・・・・ソ・・・フ・・・ド
d・・・・・・・・・・・ラ・・・ソ・・・レ
e・・・・・・・・・・・・・・・ラ・・・ミ・・・B
f・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フ・・・ド・・・A
g・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソ・・・レ・・・ド
aa・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラ・・・ミ・・・レ
bb柔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フ
bb堅・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミ・・・@
cc・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ソ・・・フ・・・ド
dd・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラ・・・ソ・・・レ

このような関係になっていました。
したがって、例えば「E」音はAの「ラ」であり同時に@の「ミ」でもありますので、「ドレミファソラ」と音が高くなってきたら、「ドレミファソ」→「ミ」とラの音をミに乗り換える方法をしていたのです。ラから乗り換える場合、乗り換え先はレかミになります。
B→@はレ、A→@はミとなります。B→Aの乗り換えはしない。

●階名が音名にも
グィード・ダレッツォが作った「階名」は、そのまま現在のフランス語とイタリア語の「音名」としても使われています。
なお、イタリア語では「ut→do」(ウト→ド)となりましたが、フランス語では今でも「ut」(ユトと発音)が残っているようです。
また、17世紀になって追加された「si」(シ)の「階名」は、アメリカでは「ti」(ティ)と変化しています。変化した理由は、階名を一文字で表現した場合に「sol」と「si」の「s」が重複するのを避けるためとのことです。

●なぜ3つの「ヘクサコルド」があるのか?
さきほど上の方で、@「自然なヘクサコルド」〜「 C や c から始まる6音」、A「堅いヘクサコルド」〜「 Γや G や g から始まり「堅い b」を含む6音」、B「柔らかいヘクサコルド」〜「 F や f から始まり「柔らかい b」を含む6音」が登場しました。
なぜ、グィード・ダレッツォはソルミゼーションの「ut、re、mi、fa、sol、la」を与える音としてCとGとFの3つの音を選び、DやEやAを外したのか?
中世は純正律が誕生するまではピタゴラス音律が用いられていたわけですが、当時は♭や#が無かった、つまり必要がないから無かったわけですね。
♭や#を使わない音階は、現在風に言えばハ長調ですが、グィード・ダレッツォが決めた最低音から音を低い順に並べると「GABCDEF」です。
この場合、ピタゴラス音律の「G」から4度の完全音は「C」です。「C」から4度の完全音は「F」、まとめるとこの中の完全音は「CFG」の3音だけです。完全音から音が始まる。これがこの3音を特別に取り扱った理由です。
「ダイアトニックスケール」と言う言葉を聞いたことがあると思いますが、♭や#を使用しない(=ハ長調)ダイアトニックは「CDEF」と「GABC」の2つのテトラコルド(4つの弦・音)をつなげたものです。
この場合のトニック(主音)は「C」と「G」の2つ(ダイア)です。これがダイアトニックの語源になっています。この場合も「CとF」「GとC」が完全音で完全音程の関係になっています。
さらに2つのテトラコルドは、それぞれが「全全半」の音程になっています。この2つのテトラコルドを「全」の音程でつないだものが現在の長調のダイアトニックスケールになっています。

※余談
よく聞く言葉で「鉄道のダイア」とか「ダイアグラム」などがありますが、ここで使われている「ダイア」は「2つの」の意で、「鉄道のダイヤ」は、一方に時間をとりもう一方に距離(駅)をとり、二次元の座標で表現したもの。「ダイアグラム」は数字などの情報を2次元座標のグラフや二次元の図を使って分かりやすく表現したもの意味で使われています。なお、似たものに、女性名の「ダイアナ」はローマ神話の女神「Dianaディアナ」に由来、「ダイアモンド」はギリシア語の「adamazein何物にも征服できない」に由来(ラテン語でadamantになり、後にaが取れてdaimondに変化)で語源が異なります。

※補足
・ヘクサコード:ヘクサコード 6音から成る全音階的音階。両端が長6度のひらきをもち、第3音と第4音の間が常に半音となる。中世・ルネサンス音楽の教会旋法の基礎をなす音階。
・ソルミゼーション:音階の各音にそれぞれ1音節を当てはめ、声による読譜を行う事。音節とは「ut、re、mi、fa、sol、la」の6つの階名、ヘクサコードの音を音節で読み替えをしながら読譜した。
・「音名」 音の高さに対して付けられた名前で、「絶対名」と考えることが出来る。「A、B、C、・・・」はこの代表。
・「階名」 調号に応じて、その主音から始まる音に対して付けられた名前で、「相対名」と考えることが出来る。この代表的なのが「ut、re、mi、fa、sol、la」。・調号が変われば階名は変わるが、音名は変わらない。

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わけいさん、こんにちは。リンクをいたただいている「目指そう放射線主任」の虹法師です。私事で恐縮ですが、このたび事故により、私のブログのすべての記事が吹き飛んでしまいました。わけいさんにお書き頂いたものもふくめ、皆様からのコメントもすべて消えてしまいました。まことに申し訳ありません。
放射線試験科目も変わり、そろそろブロブも引き時かなと思っていた矢先の出来事でした。復活すること無く、このまま幕引きとさせて頂こうと思います。わけいさん、今までありがとうございました。私のブログへのリンクをお閉じ下さるようお願いいたします。
虹法師
2018/06/23 14:35
虹法師様へ
突然の事故の報告、大変驚きました。予期せぬ素粒子が突然消えてしまったかのような話です。ブログの貴重な内容が消えてしまうのは、もしバックアップが無いとすると大きな損失です。それに虹法師さんのブログが終わってしまうのは、とても寂しいです。今はショックで手がつかないと思いますが、落ち着いたら別の形(内容、名称、ブログサービスなど)でも、再び始めて頂きますことを切に願う次第です。お願いします。
わけい
2018/06/23 23:48

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