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zoom RSS ハオルチアのオブツーサという種名・品種名について

<<   作成日時 : 2018/09/20 10:41   >>

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●ハオルチアが好き
私は、多肉植物のハオルチアが好きで、かなり多くの品種を栽培している。
不思議な形をしているものが多く、その形状に魅せられてしまった。

そのハオルチアの仲間にオブツーサと言っているものがある。
葉が短く、コロコロと丸っこくなっている。地上に出ている部分は透明になっている。
これも魅力的なハオルチアだ。
最近は、ハオルチアブームだそうですね。海外でも人気が高まり、日本で交配されたハオルチアが注目され、盗難事件もあったりするようです。ハオルチアは高額で取引され、まさに「金のなる木」に相当するようです。
(投資対象は、いつか下がる可能性がある。といっても、投資対象になる前からハオルチアは高価でした。)

●これもオブツーサ?
ところで、オブツーサと言っている品種には様々なものが含まれていることに気づいた。
えっ!これもオブツーサなの?
植物学の世界では別の種として認識されているものが、その多くが「オブツーサ」の名のもとに流通したり、多肉関係の書籍で紹介されています。

※以下は、かなりマニアックな内容になりますが、せっかく苦労して調べたので、その記録として公開します。
ハオルチアの収集でも有名な方で、その界の組織の要職をされている方の著書の中でも、混乱されていると感じたので、以下の資料は無駄ではないと思います。
しかし、わかりやすくするためにはどう表現したらよいのか?
いろいろ工夫しましたが、取敢えずアップしてみます。いい方法が思いついたら、改訂するかもしれません。


●先ずはハオルチア理解の上で必須の著書「Haworthia Revisited A Revision of the Genus」から
手元にある文献Bruce Bayer著の「Haworthia Revisited A Revision of the Genus」1999年で調べてみた。
この本はハオルチア属の種の全般について、見直した結果が書かれている。

学名で調べると、丸っこい葉をしているのは「Haworthia cooperi var. truncata」であることが分かった。学名には「オブツーサ」らしき文字列が含まれていない。これはなぜ?

オブツーサの文字列を含む種は、「Haworthia cymbiformis var. obtusa」であることが分かった。
しかしこの種は、コロコロしたイメージが全くない。
コロコロしたハオルチアに対し日本で使っている「オブツーサ」と学名の「obtusa」には、かなり大きなズレが生じているようです。

そこで、ハオルチアの原産地である南アフリカの国立の研究所が所有するアフリカの20万種以上の植物のデータベースである「AFRICAN FLOWERRING PLANTS DATABASE」で調べてみた。同様の結果だった。
さらに、「Desert Tropicals」の南アフリカの植物について紹介されているデータベースでも、結果は同様だった。

★★ オブツーサ”に関連する植物の学名の変異  ★★
日本で一般的に”オブツーサ”呼ばれて出回っている植物の名前が混乱しているように感じたので、ハオルチア属のオブツーサに関係する種の学名がどのように変異してきたかをまとめてみることにしました。

その結果は、以下のとおりです。
@から、発表年の古い順に掲載ました。
@から㉙までの種名が密接に関係し、これらの植物をどのように分類するか、同じ種なのか?別の種なのか?(非常にめんどくさいですが、)これらの流れを一つ一つ見ていくと、学者によっていろいろ見解が分かれる様子がよく分かります。

※以下の中で、「H.」はHaworthia(ハオルチア)属の略名(B以降すべて)です。

●@ Aloe cymbiformis Haw. 1804 
※Haw.は、cymbiformisをアロエ属の新種として発表した。
●A Haworthia cymbiformis (Haw.)Dual 1809 
※Dual は、cymbiformisをハオルチア属に移した。
●B H. obtusa Haw. 1825 
※新種発表、初めて「obtusa」の名前(種形容語)が登場。
※この「obtusa」の形状は、コロコロした葉っぱではない。
●C H. cooperi Baker 1870 
※新種発表
●D H. pilifera Baker 1871 
※新種発表
●E H. cymbiformis (Haw.)Duval var. obtusa (Haw.)Baker 1880 
※Bakerは、Bのobtusa Haw.を種から変種にランクを下げた。
※Bの新組み合わせなので、葉はコロコロしていない。
●F H. columnaris Baker 1889 
※新種発表

※※Poelln.は、G〜KまでとPの新種を発表し、さらにL〜Oまでの種の新組み合わせを発表した。
●G H. dielsiana Poelln. 1930 
※新種発表
●H H. umbraticola Poelln. 1937 
※新種発表
●I H. hilliana Poelln. 1937 
※新種発表
●J H. stayneri Poelln. 1937 
※新種発表
●K H. stayneri Poelln. var. salina Poelln. 1937 
※Poelln.がJの種に下位の変種を設けた。
●L H. pilifera Baker var. columnaris (Baker)Poelln. 1938 
※Poelln.がFの種をDの種の変種に移した。
●M H. pilifera Baker var. stayneri (Poelln.)Poelln. 1938 
※Poelln.がJの種をDの種の変種に移した。
●N H. pilifera Baker var. salina (Poelln.)Poelln. 1938 
※Poelln.がKの変種をDの種の変種に移した。
●O H. pilifera Baker var. dielsiana (Poelln.)Poelln. 1940 
※Poelln.がGの種をDの種の変種に移した。
●P H. pilifera Baker var. dielsiana (Poelln.)Poelln. form. acuminata Poelln. 1940
※新品種発表
※※以上のG〜Pまでが、Poelln.が発表した内容。

※※UitewaalはBの種obtusaが有効とし、次のQ〜㉓までの新組み合わせを発表した。
●Q H. obtusa Haw. var. columnaris (Baker)Uitewaal 1948 
※Gの種をobtusaの変種に移した。
●R H. obtusa Haw. var. dielsiana (Poelln.)Uitewaal 1948 
※Fの種をobtusaの変種に移した。
●S H. obtusa Haw. var. dielsiana (Poelln.)Uitewaal form. acuminata (Poelln.)Uitewaal 1948 
※Pの品種acuminataをRの品種に移した。
●㉑ H. obtusa Haw. var. pilifera (Baker)Uitewaal 1948 
※Dの種をobtusaの変種に移した。
●㉒ H. obtusa Haw. var. stayneri (Poelln.)Uitewaal 1948  
※Jの種をobtusaの変種に移した。
●㉓ H. obtusa Haw. var. salina (Poelln.)Uitewaal 1948 
※Kの変種をobtusaの変種に移した。
※※以上のQ〜㉓までが、1948年にUitewaalが発表した新組み合わせ。

●㉔ H. obtusa Haw. var. pilifera (Baker)Uitewaal form. truncata Jacobs. 1955 
※Jacobs.はBの種obtusaが有効とし、㉑の変種の下位に品種を設けた。
●㉕ H. cymbiformis (Haw.)Duval var. umbraticola (Poelln.)M.B.Bayer 1976 
※M.B.BayerはHの種をAの種の下位の変種に移した。
●㉖ H. joeyae Scott 1995
※新種発表

※※M.B.Bayerは、㉗〜㉙の新組み合わせを発表した。
●㉗ H. cooperi Baker var. truncata (Jacobs.)M.B.Bayer 1999 
※M.B.Bayer は、㉔の品種をCの種の変種にランクを上げて移した。
※日本で「オブツーサ」と言っている種は、そのほとんどはこの変種を指している。
●㉘ H. cooperi Baker var. pilifera (Baker) M.B. Bayer 1999 
※M.B.Bayer は、Dの種をCの種の下位の変種として移した。
●㉙ H. cooperi Baker var. dielsiana (Poelln.) M.B. Bayer 1999 
※M.B.Bayer は、Gの種をCの種の下位の変種として移した。
※※以上㉗〜㉙までが、M.B.Bayerが発表した新組み合わせ。

★★ 和名との関連で整理してみると ★★
さて、以上を踏まえて和名でオブツーサ及びその関連種として取り扱われている種の関係を整理してみると、以下のようになります。
★H. cymbiformis v. obtusa 関連 (和名:特に無いが、姫玉虫、青玉簾、ウンブラティコラなど)
@ Haw.が新種としてAloe cymbiformisを発表する。(1804年)
A Dualは@をAloe 属からHaworthia属に移す。(1809年)
B Haw.は新種としてH. obtusaを発表する。(1825年)
E BakerはBのランクを下げてH. cymbiformis (Haw.)Dualの変種に移す。(1880年)
H&I Poelln.は新種としてH. umbraticolaとH.hillianaを発表する。(1937年)
㉕ M.B.BayerはHのランクを下げてH. cymbiformis (Haw.)Dualの変種に移す。(1976年)
※ M.B.BayerはIと㉕をEのH. cymbiformis (Haw.)Duaに含めて異名とする。(1999年)

★H. cooperi v.pilifera関連 (和名:玉露
D Bakerが新種としてH. piliferaを発表する。(1871年)
J&K Poelln.が新種としてH. stayneriとH. stayneri v. salinaを発表する。(1937年)
M&N Poelln.は自分で発表したJ&KをDのH. pilifera Bakerの変種に移し替える。(1938年)
P Poelln.は新種としてOの品種としてH.pilifera v.dielsiana f.acuminataを発表する。(1940年)
S,㉑,㉒&㉓ UtewaalはG,D,Jのランクを下げてBのH.obtusa Haw.の変種として移すとともにKをこの変種に移す。(1948年)
㉘ M.B.BayerはDのランクを下げてCのH.cooperi Bakerの変種として移す。(1999年)

★H. cooperi v.dielsiana関連 (和名:玉章
G Poelln.が新種としてH.dielsianaを発表する。(1930年)
O Poelln.は自分で発表したGをランクを下げてDのH.pilifera Bakerの変種に移す。(1940年)
R UtewaalはOとは別にGをランクを下げてBのH.obtusa Haw.の変種に移す。(1948年)
㉖ Scottが新種としてH.joeyaeを発表する。(1955年)
㉙ M.B.BayerはO&Rとは別にGをランクを下げてCのH.cooperi Bakerの変種に移す。(1999年)
※ M.B.Bayerは㉖を㉙の異名に含める。(1999年)

★H. cooperi v. truncata関連 (和名:雫石
㉔ Jacobsが新種として㉑の品種としてH.obtusa v.pilifera f.truncataを発表しする。(1955年)
㉗ M.B.Bayerは㉔をランクを上げてCのH.cooperi Bakerの変種に移す。(1999年)
※上でも書いたが、日本で「オブツーサ」と言っている種は、そのほとんどはこの変種を指している。

★H. columnaris関連 (和名:玉殿
F Bakerが新種としてH.columnarisを発表する。(1889年)
L Poelln.はFのランクを下げてDのH.pilifera Bakerの変種に移す。(1938年)
R UtewaalはLとは別にFのランクを下げてBのH.obtusa Hawの変種に移す。(1948年)
※ M.B.BayerはF,L&Rを未解決の種として発表する。(1999年)

★★ まとめ ★★
これらは日本では現在、和名として掲げた名前以外に、「オブツーサ」、「○○オブツーサ」、「オブツーサタイプ○○」などと呼ばれ、色々な名前が乱立しています。
また、これらの選抜種や交配種も多く、それらもオブツーサの名前を使用しているのが多くいです。

UtewaalはHaworthのH.obtusaに色々な種をこの変種として移しましたが、
BayerとPilbeamは、Utewaalのこの試みはHaworthの記述と図を間違った解釈をしているとして全くこれを受け入れず、またScottもUtewaalの試みを受け入れなかった。

しかしながら、日本(の園芸界)においてはUtewaalの試みが受け入れられたようで、「obtusa」を広く解釈して「dielsiana」や「pilifera」や「columnaris」や「truncata」などもオブツーサの仲間として取り扱われているようである。「H. obtusa」が「オブツーサ」の名のもとに独り歩きしているようだ。
そして、「オブツーサ」の名のもとに取引されている植物のほとんどは、「H. cooperi v. truncata」そのものの場合が多いです。珍しいものを珍重する園芸界にあっては、その栽培種(斑入り、色が濃いor薄いor紫色or黒がかっている)か交配品種がもてはやされています。しかしながら、交配品種にあっては、交配親の種名・変種名・品種名が不明なものが多く、それに「〇〇オブツーサ」と、もっともらしい流通名を付けているものが多く見受けられます。
ここらあたりに混乱の大きな原因があると思います。

オブツーサや関連種の地位を、
T UtewaalのH.obtusaの変種に置くことを受け入れるか、
U PoellnitzのH.piliferaの変種に置くことを受け入れるか、
V M.B.BayerのH.cooperiの変種におくことを受け入れるか
・・・世界的に見ると現在のところVの説に移行しているようである。
しかしながら、分類学は留まることなく新たな分類の試みが行われ、オブツーサ関連についても新たな分類体系が登場するかもしれない。特に今後はDNAによる分類の再考が大いにありうることで、これだと分類をめぐる混乱はかなり少なくなると期待される。

上記で説明したオブツーサ類の種は、いずれもアフリカ大陸の最南端の南アフリカの南海岸付近の中央部に分布している。
大雑把にそれぞれの種の分布地を見ると、一番海岸に近いところに「pirifera」が分布し、その北側に「dielsiana」と「obtusa」が分布し、その東側に「truncata」が分布している。
「dielsiana」」と「obtusa」とは分布地が重なるようだが、ちゃんと住み分けができていて、「dielsiana」」は開けた地に、「obtusa」は岩場の傾斜の強い地や崖地などに生育している。

※登場人名の略称の補足
●Haw. Haworth, A.H. ※Haworthi(ハオルチア)属はこの英国の植物学者に因む。
●Jacobs. Jacobsen, H.
●Poelln.  Karl von Poellnitz

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