金のなる木

現在、金のなる木といえば

通称、「金のなる木」と呼ばれている植物は、
Crassula ovata ( syn. C. portulacea C.argentea ) クラッスラ・オヴァタのことを指しています。

※パキラ( Pachira aquatica )も、「money tree」と呼ばれるので、「金のなる木」の流通名で販売されることもあるようですが、Crassulaとは全く別の植物です。

一般的には花月(かげつ)という名前で出回っていることが多いです。
ときには、縁紅弁慶(ふちべにべんけい)との名前で出回っていることもあります。


花月には、多くの園芸品種があり、桜花月、黄金花月、紅花月、花月錦、新花月錦、新花月、姫花月、姫黄金花月などがあります。

「花月」を冠しない花月の仲間もあります。
艶姿、ゴーラム、ホビット、落日の雁、満天の星などです。


金のなる木のいわれは?

「昔遊び心で花月の新芽を5円玉の穴に入れておくと木にお金が成っているように見えたので、金のなる木というようになった」という説明をよく目にしますが、どうなんでしょうか?


「花月」が渡来したのは昭和の初期といわれますが、
穴あきの5円硬貨が発行されたのは、昭和24年になってからです。
その間約20年間何て呼んでいたのでしょう?
 
英名は、「Jade Tree」で、他に「Penny Plant」、「Money Tree」、「(Silver) Dollar Olant」などと呼ばれています。
お金に関する名前が多いですが、これは葉の形状が硬貨に似ていることからそのような名前が付いたとされています。

異名の 「 C. argentea 」の「argent」はフランス語で「お金」の意味ですが、
そのルーツはラテン語のargentum(銀、銀貨)、argenteus(銀貨)です。
画像
Steve BuissinneによるPixabayからの画像



「花月」が渡来した際orその後短い間に英名の名前も紹介されていたと思われます。
したがって、穴あき5円玉が登場する昭和24年までの間に、「縁紅弁慶」や「花月」の名前の他にもう既に英名に因む「金のなる木」という名前も使われていたと考えるのが自然な流れと思われます。

そして、既に使われていた「金のなる木」に因んで、昭和24年以降に、
遊び心で誰かが穴あき5円玉の穴に若い枝を通して、「これが本当の金のなる木だ」などと、
洒落たものと思います。


そもそも、「金のなる木」という言葉は、江戸時代には既に使用されていた言葉です。

したがって、先に「金のなる木」という名前が使われていて、
英名の「お金に因んだ名前」から、日本では「金のなる木」とも呼ばれ、
その後に発行された穴あきの5円玉とがコラボしたものと考えられます。


江戸時代にあった「金のなる木」とは?

江戸時代には「金のなる木」の図が印刷され、人々に配られたり神社に奉納されたりしていたようで、 その「金のなる木」は、
画像

根は、 正直(しょうじ木)
幹は、 慈悲深き(じひふか木)と萬程の良き(よろずほどのよ木)
左の枝は、 家内睦まじき(かないむつまじ木)、養生良き(ようじょうよ木)、費えの無き(ついえのな木)、稼ぎ(かせ木) 
右の枝は、 油断の無き(ゆだんのな木)、辛抱強き(しんぼうづよ木)、潔き(いさぎよ木)、朝起き(あさお木)

といった色々な教訓を示す言葉の文字が幹や枝となって構成されて、一本の木の図にして紹介されています。

「金のなる木」とは、実際そのような植物があるわけではなく、
図に描かれているような「○○の木」を心がければ金がたまる → これを称して「金のなる木」というものでした。


明治時代にあった「金のなる木」とは?

明治時代の錦絵に、「上景気」(金のなる木)と「不景気」(ふけい木)とが描かれていて

不景気(ふけい木)は、
幹は、 金融悪しき(きんゆうあし木)は古今無類の不景気(ふけい木)
枝は、 くやし木、しかたな木、つまらな木、しんきくさ木、はりあいな木、せけんさびし木、いん木、かねかりおお木、あきないな木、そん木
・・・などの多数の「○○の木」を付けている。

上景気(金のなる木)は、
幹は、 融通良き(ゆうづうよ木)
枝は、 五穀実り良き(ごこくみのりよ木)、戦無き(いくさな木)、負けぬ気(まけぬ木)、お目出度き(おめでた木)、回り良き(まわりよ木)、有難き(ありがた木)、暇無き(ひまな木)、陽気(よう木)、美しき(うつくし木)、忙しき(いそがし木)、働き(はたら木)、早起き(はやお木)、嬉き(うれし木)、評判良き(ひょうばんよ木)
・・・などの「○○の木」を付けている。

江戸時代の例に同じく、実在の特定の植物の名前ではなく、金のたまる心がけを絵にしたものでした。


金のなる木は実在の植物の名前ではなかった

江戸時代にはすでに、実在する植物の名前ではないですが、「金のなる木」という言葉は存在していました。

昭和30年代の植木等が歌った大ヒット曲(青島幸雄作詞)「ハイそれまでヨ」にも「金のなる木があるじゃなし・・・」のフレーズが登場するのが思い出されます。

現在は、クラッスラ属の1植物に「金のなる木」の俗称が付けられましたが、
実際「5円玉が付いた花月」を見ると、「なんて品のない、趣味が悪い!」と感じるのは私だけではないと思います。


縁紅弁慶のべんけいとは?

そもそも、エケベリア属、クラッスラ属、セダム属、パキフィツム属などの植物はベンケイソウ科の植物ですが、科の名前になっているベンケイソウはどんな植物か?

Hylotelephium erythrostictum (syn. Sedum alboroseum)のことをベンケイソウといいます。

平安時代の書物には伊岐久佐(いきくさ)の名前で登場する「活き草・生き草」の意味です。

江戸時代には「イキクサ」は、切っておいてもすぐには枯れず、土に挿すと根が出て育つ丈夫な性質から、強いものの代名詞として使われる(武蔵野坊)弁慶に因んで「ベンケイソウ」といわれるようになったようです。

本来は中国原産で、日本には平安時代に渡来し野生化したものです。

弁慶の名を冠した植物の名前は多いですが、たいていは丈夫で強い植物です。
縁紅弁慶もその1つで、弁慶に因んで、葉が光沢のある緑色で縁が赤くなるベンケイソウの意で名付けられたものです。


花月とは?

広辞苑によると、花月は3項目の説明があります。
① 花と月
② 風流な遊び
③ 能の一つ

※花(花といえば桜のこと)と月は古くから和歌によく詠まれていました。
植物の和名の「花月」は、桜色の花と葉っぱを月に見立てて①の「花と月」の意味でつけられたものと思います

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この記事へのコメント

  • ポジティブオーラ

    江戸時代・明治時代の”金のなる木”
    日本語の融通性が、まさにコトダマの
    表現だと思いました。
    大変面白ですね!
    2019年05月26日 18:16
  • わけい

    こんにちわ!ポジティブオーラさんへ
    コメントありがとうございます。いつもお世話になっています。
    (ちょっと緊張します)
    江戸・明治期の「金のなる木」の図には、驚かされました。
    教訓でもあり、面白いアイデアでもあり、思考法のようでもあり、それが1枚の図になっているので、ポジティブオーラさんがおっしゃるように「まさにコトダマの表現」ですね。
    またよろしくお願いします。
    2019年05月27日 09:56
  • tor

    穴あき五円玉が実っているようだからじゃないのですね。
    私も五円玉のついた金のなる木は好きになれません。
    名称は「花月」なのですね。

    花月と聞くと私は「よしもと」や「長崎の料亭」
    を思い浮かべてしまいます。

    今、多肉植物がブームらしいですね。
    植木市などでもコーナーが増えているような気がします。
    2019年05月27日 19:16
  • わけい

    torさんへ
    こんにちわ!
    花月が日本に来てから、約20年間は穴の開いていない5円玉でした。
    なので、少なくても20年間は「5円玉と花月は無関係」だったことになります。
    過去(ブーム以前の時期)、私も多肉に夢中でしたが、同じ「種」でも、ある人にとっては簡単でも、別の人にとっては難しくもあり、同一の環境下で多くの「種」を栽培するのは難しいと感じました。
    特に、寄せ植えは、植えたときが一番最高に綺麗ですが、それを維持するのが難しく、日増しに形が崩れてしまいます。
    丈夫なのだけが、今も大量に残っています。
    南アフリカに生育するハオルチア属の種や交配種が高価(昔も高価でした)で取引されているようですが、そのハオルチアは私にとっては結構丈夫で、今でも我が家には多く残っています。(かなり増えたかも)
    2019年05月28日 14:22