デンドロビウム属(ラン科)の節を基本にした分類体系

ラン科の植物・デンドロビウム
デンドロビウム属には、2000種に達するほどの多数の種が記載されています。
しかし、多くの植物学者により種として記載されたものの、その後の再考によりかなりのものが同一種であるとされ、実質は1232種程度であると考えられています。

私はデンドロビウム属として記載されたすべての種についてリストアップし、種とその異名の関係についてかなりの時間をかけてまとめました。

デンドロビウム属の中には、類似したグループ(Section、節)があって、このSectionによって大まかな分布や特徴や性質を知ることが出来、デンドロビウム属を理解するうえで大いに役立ちます。

今回はとりあえず、Section・節を中心とした分類体系について紹介したいと思います。


デンドロビウム属の別名
Dendrobium属は、過去に以下の多数の属名で呼ばれたことがあります。

Aclinia、Aporum、Bolbidium、Cadetia、Calcatrippa、Callista、Ceraia、Coelandria、Desmotrichum、Dichopus、Ditulima、Endeisa、Ephemerantha、Froscula、Grastidium、Keranthus、Latouria、Macrostomium、Onychium、Ormostema、Oxystophyllum、Pedilonum、Pierardia、Sarcopodium、Sarcostoma、Scandederis、Schimoceras、Stachyobium、Thelychitom、Thicuania、Tropilis


デンドロビウム属の分類
デンドロビウム属の分類は、古くはJ.Lindley(1830)やF.W..L..Kra;nzlin(1910)によって手がけられたが、なかでもF.R.R.Schlechter(1912,1927)の業績は大きい。

Schlechterは葉鞘の有無や茎の形態、葉及び花の数、つき方などに着目し、本属を4亜属41節に分け、その後の研究に大きな影響を与えた。 近年各国の研究者によりそれぞれの国の植物相の研究の一環として、本属の全貌が明らかにされつつあるが、多くはSchlechterの分類体系を踏襲したもの。

最近になってF.G.Brieger(1981)が、Schlechterの41節のうちの半数の21節をそれぞれ独立の属とする試みを行っているが、従来花粉塊の数で明確にくべつされていたEriaをも同列の属として扱うなどの問題が多い。

また、B.Lavarack、W.Harris、G.Stock(2000・2006)がデンドロビウム属を36節とし、さらにデンドロビウム属に含まれていた一部を他の属に分離し合計で13属としているが、この体系も受け入れられていない。

日本で栽培されているのは200種程度なのでSchlechterの分類による次の分類でその類縁関係を十分に知ることが可能。


デンドロビウム亜属への検索(Schlechter,1912)
① 葉の基部に葉鞘がない。 subgenus Athecebium アテケビウム亜属
① 葉の基部に葉鞘をもつ。
 ② 茎は全体が肥厚するか、または肥厚した部分をもつ。
  ③ 茎全体が肥厚する。 subgenus Dendrobium デンドロビウム亜属
  ③ 茎の1~3節間だけが肥厚する。 subgenus Rhopalobium ロパロビウム亜属
 ② 茎は細く木化し針金状となる。 subgenus Xerobium クセロビウム亜属

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Anna ZaroによるPixabayからの画像


デンドロビウムの節一覧
Schlechter,1912 41節

1 subgenus Athecebium  アテケビウム亜属
Schlechter,1912の分類では全12節です。
(1) sect. Desmotrichum デスモトリクム節
(2) sect. Microphytanthe Schlechter ミクロフィタンテ節
(3) sect. Goniobulbon ゴニオブルボン節
(4) sect. Diplocaulobium ディプロカウロビウム節
(5) sect. Bolbidium Lindl. ボルビディウム節
(6) sect. Euphlebium エウフレビウム節
(7) sect. Rhizobium リゾビウム節
(8) sect. Sarcopodium  サルコポディウム節
(9) sect. Dendrocoryne  デンドロコリネ節
(10) sect. Latouria  ラトウリア節
(11) sect. Inobulbon イノブルボン節
(12) sect. Callista (Lour.)Schltr.  カリスタ節


2 subgenus Dendrobium デンドロビウム亜属
Schlechter,1912の分類では全17節です。
(13) sect. Dendrobium  デンドロビウム節
(14) sect. Platycaulon Schltr. プラティカウロン節
(15) sect. Pedilonum (Bl.)Lindl.  ペディロヌム節
(16) sect. Calyptochilus Schltr. カリプトキルス節
(17) sect. Oxyglossum Schltr. オクシグロッスム節
(18) sect. Cuthbertsonia Schltr.  クスベルトソニア節
(19) sect. Brachyanthe Schltr. ブラキアンテ節
(20) sect. Stachyobium Lindl. スタキオビウム節
(21) sect. Fytchianthe  フィチアンテ節
(22) sect. Phalaenanthe  ファラエナンテ節
(23) sect. Eleutheroglossum  エレウテログロッスム節
(24) sect. Ceratobium Schltr.  ケラトビウム節
(25) sect. Trachyrhizum  トラキリズム節
(26) sect. Distichophyllum Hk.f.  ディスティコフィルム節
(27) sect. Oxygenianthe Schltr. オクシゲニアンテ節
(28) sect. Amblyanthus アンブリアンツス節
(29) sect. Kinetochilus キネトキルス節


3 subgenus Rhopalobium ロパロビウム亜属
Schlechter,1912の分類では次の全1節です。
(30) sect. Rhopalanthe Schltr. ロパランテ節


4 subgenus Xerobium  クセロビウム亜属
Schlechter,1912の分類では次の全11節です。
(31) sect. Aporum (Bl.)Lindl. アポルム節
(32) sect. Oxystophyllum (Bl.)Miq. オクシストフィルム節
(33) sect. Grastidium (Bl.)J.J.Sm. グラスティディウム節
(34) sect. Dichopus  ディコプス節
(35) sect. Eriopexis エリオペクシス節
(36) sect. Pleianthe プレイアンテ節
(37) sect. Macrocladium マクロクラディウム節
(38) sect. Dolichocentrum ドリコケントルム節
(39) sect. Conostalix Krzl.  コノスタリクス節
(40) sect. Monanthos モナントス節
(41) sect. Herpethophytum ヘルペトフィツム節


デンドロビウムの節一覧
S. Schelpe & J. Stewartによる修正後
40節
次のリストは、Sybella Schelpe and Joyce Stewartが、Schlechterの分類体系のいくつかの名前を現在受け入れられている命名法に調和させるために修正したものです。

1 subgenus Athecebium
 (1) sect. Desmotrichum デスモトリクム節
 (2) sect. Microphytanthe ミクロフィタンテ節
 (3) sect. Goniobulbon ゴニオブルボン節
 (4) sect. Diplocaulobium (現在は異なる属として扱う) ディプロカウロビウム節
 (5) sect. Bolbidium ボルビディウム節
 (6) sect. Euphlebium エウフレビウム節
 (7) sect. Rhizobium リゾビウム節
 (8) sect. Sarcopodium(現在は異なる属として扱う) サルコポディウム節
 (9) sect. Dendrocoryne デンドロコリネ節
 (10) sect. Latouria ラトウリア節
 (11) sect. Inobulbon イノブルボン節
 (12) sect. Callista カリスタ節


2 subgenus Dendrobium
 (13) sect. Dendrobium デンドロビウム節
 (14) sect. Platycaulon プラティカウロン節
 (15) sect. Pedilonum ペディロヌム節
 (16) sect. Calyptochilus カリプトキルス節
 (17) sect. Oxyglossum(Schlechterの Cuthbertsoniaを含む) オクシグロッスム節
 (18) sect. Breviflores(Schlechterの Brachyantheを含む)ブレヴィフロレス節
 (19) sect. Stachyobium スタキオビウム節
 (20) sect. Fytchianthe フィチアンテ節
 (21) sect. Phalaenanthe ファラエナンテ節
 (22) sect. Eleutheroglossum エレウテログロッスム節
 (23) sect. Spatulata(Schlechter は Ceratobiumと呼んだ) スパツラタ節
 (24) sect. Trachyrhizum トラキリズム節
 (25) sect. Distichophyllum ディスティコフィルム節
 (26) sect. Formosae (Schlechter は Oxygeniantheと呼んだ) フォーモサエ節
 (27) sect. Amblyanthus アンブリアンツス節
 (28) sect. Kinetochilus キネトキルス節


3 subgenus Rhopalobium
 (29) sect. Rhopalanthe ロパランテ節


4 subgenus Xerobium
 (30) sect. Aporum アポルム節
 (31) sect. Oxystophyllum オクシストフィルム節
 (32) sect. Grastidium ラスティディウム節
 (33) sect. Dichopus ディコプス節
 (34) sect. Eriopexis エリオペクシス節
 (35) sect. Pleianthe プレイアンテ節
 (36) sect. Macrocladium マクロクラディウム節
 (37) sect. Dolichocentrum ドリコケントルム節
 (38) sect. Conostalix コノスタリクス節
 (39) sect. Monanthos モナントス節
 (40) sect. Herpethophytum ヘルペトフィツム節


デンドロビウムの各節の説明 S. Schelpe & J. Stewartによる修正後を基本に 40-42節 40節

1 subgenus Athecebium
アテケビウム亜属(全12節)

1-1(1) sect. Desmotrichum デスモトリクム節
短く肥厚した茎は1節からなり、分枝した根茎の上に連なる。茎には1枚の葉がつく。 この節は今日では、A.D.Hawkes(1961)により分離されたFlickingeria属(Ephemerantha属)として扱うのが普通。

この節には次の種が分類される。
D.comatum,D.plicatile


1-2(2) sect. Microphytanthe ミクロフィタンテ節


1-3(3) sect. Goniobulbon ゴニオブルボン節


1-4(4) sect. Diplocaulobium ディプロカウロビウム節
この節はFritz Kraenzlin(1910)により属に引き上げられ、今日では属として扱うのが普通。


1-5(5) sect. Bolbidium ボルビディウム節


1-6(6) sect. Euphlebium エウフレビウム節


1-7(7) sect. Rhizobium リゾビウム節
根茎は細い針金状で、その先端に肥厚して茎の働きをする葉をもつ。多くはオーストラリアに分布し、Dockrill(1969)はこの節を次の3グループに分けて扱っている。

①グループ には次の種が分類される。
D.cucumerinum, D.linguiforme, D.wassellii

②グループには次の種が分類される。
D.bowmanii, D.calamiforme, D.fairfaxii, D.mortii,D.pugioniforme, D.racemosum, D.rigidum, D.schoeninum, D.striolatum, D.teretifolium

③グループには次の種が分類される。
D.lichenastrum, D.prenticei, D.toressae


1-8(8) sect. Sarcopodium サルコポディウム節
デスモトリクム節に似るが、葉は2枚である。この節は今日では、F.Gagnepain(1932)により分離されたEpigeneium属として扱うのが普通。


1-9(9) sect. Dendrocoryne デンドロコリネ節
茎は株立ちとなり、紡錘形をし、先端に2-数枚の葉をつける。リップはコラムから離れていて、鶏冠状突起も多少の例外をのぞき不明瞭。主としてオーストラリアに分布。

この節には次の種が分類される。
D.adae, D.aemulum, D.delicatum, D.falcorostrum, D.fleckeri, D.gracillicaule, D.kingianum, D.ruppianum, D.speciosum, D.tetragonum


1-10(10) sect. Latouria ラトウリア節
デンドロコリネ節に似て、茎は株立ちとなり、紡錘形をし、先端に2~数枚の葉をつける。リップはその基部にある構造によってコラムに接している。鶏冠状突起も明瞭。主としてニューギニアに分布。P.J.Cribbはこの節を分類学は非公式にではあるが、次の8つのグループに区分している。

① macrophyllumグループ には次の種が分類される。
D.eximium, D.finisterrae, D.forbesii, D.macrophyllum, D.polysema

② spectabileグループ には次の種が分類される。
D.alexandrae, D.biloculare, D.convolutum, D.hodgkinsonii, D.engae, D.spectabile, D.tapiniense

③ johnsoniaeグループ には次の種が分類される。
D.atroviolaceum, D.johnsoniae, D.kauldorumii, D.mooreanum, D.otaguroanum, D.rariflorum, D.rhodostictum, D.ruginosum, D.torricellense, D.violascens, D.wisselense

④ terrestreグループ には次の種が分類される。
D.acutisepalum, D.rhomboglossum, D.rigidifolium, D.terrestre

⑤ simplexグループ には次の種が分類される。
D.cruttwellii, D.simplex

⑥ punamenseグループ には次の種が分類される。
D.armeniacum, D.euryanthum, D.informe. D.laurensii, D.leucohybos, D.mayandyi, D.pachystele, D.punamense, D.ruttenii, D.subquadratum

⑦ bifalceグループ には次の種が分類される。
bifalce

⑧ aberransグループ には次の種が分類される。
D.aberrans, D.amphigenyum, D.curvimentum, D.dendrocolloides, D.diceras, D.pleurodes, D.uncipes, D.woodsii


1-11(11) sect. Inobulbon イノブルボン節


1-12(12) sect. Callista カリスタ節
茎葉はラトゥーレア節に似る。花は先端近くの葉腋から生じて総状につく。いずれも花は美しく魅力的であるが、交配の難しいグループである。リップの内側に軟毛がある。主としてビルマに分布する。

この節には次の種が分類される。
D.aggregatum, D.bronckartii, D.chrysotoxum, D.densiflorum, D.farmeri, D.griffithianum, D.palpebrae, D.sulcatum, D.thyrsiflorum


2 subgenus Dendrobium 
デンドロビウム亜属(全16-18節)
 
2-1(13) sect. Dendrobium デンドロビウム節
以前はsect. Eugenanthe エウゲナンテ節 として知られていた。
moniliformeで代表されるデンドロビウム属のタイプとなる節である。
メンタムは短く、リップは3裂せず、内側に軟毛がある。ビルマを中心に分布も広い。この節は多数の種からなるため、Sybella Schelpe and Joyce Stewartはこの節を次の4グループに分けて扱っている。

①~③グループの共通の特徴は、 バルブの多数の節から短い花序を出し、各1-3花つける。
①グループ セパルとペタルはピンク色、紫色、ピンク色に染まった白色又は白色で先端が紫色かピンク色になっている。
このグループには次の種が分類される。
D.moniliforme , D.nobile, D.linawianum, D.falconeri, D.wardianum, D.gratiosissimum, D.pendulum , D.findlayanum, D.parishii, D.devonianum, D.primulinum, D.polyanthum, D.aphyllum, D.anosmum, D.tortile, D.signatum, D.crystallinum, D.crepidatum, D.lituiflorum, D.amoenum, D.transparens, D.loddigesii

②グループ セパルとペタルは黄色、淡い黄色又はクリーム色
このグループには次の種が分類される。
D.capillipes, D.dixanthum, D.heterocarpum, D.chrysanthum, D.ochreatum, D.chrysocrepis, D.albosanguineum, D.bensoniae, D.senile, D.friedricksianum

③グループ セパルとペタルはオレンジ赤色
このグループには次の種が分類される。
D.unicun

④グループ バルブの上部の節から通常長く下垂性の花序を出し、5-15花つける。
このグループには次の種が分類される。
D.pulchellum, D.moschatum, D.fimbriatum, D.gibsonii, D.chryseum


2-2(14) sect. Platycaulon プラティカウロン節
茎は偏平でかたく、乾燥した感じであり、葉鞘は無毛。花はペディロヌム節に似ているが、リップに明瞭な鶏冠状突起をもつことで区別できる。メンタムは長い。

この節には次の種が分類される。
D.lamellatum(D.platycaulon,D.platygastrium)


2-3(15) sect. Pedilonum ペディロヌム節
葉鞘は無毛で、花茎は多くは落葉した茎の節につく。花はエウゲナンテ節に似るが、比較的小さく、メンタムが長く、リップの内側に毛がないことで区別できる。
なお、1908年にJ.J.Smithは、この節からCalcarifera節を分離したが、2つの節の間に明確な線を引くのは難しい。
Sybella Schelpe and Joyce Stewartによれば、この節は最初はニューギニアのものであったが、しかし、その範囲が最近広げられ、マレーシア、タイ、インドネシアの以前カルカリフェラ節に分けられていた植物を含むようになった。記録では19種がボルネオに産す。いくつかの種、例えば、D.smillieaeはカリプトロキルス節に非常に近いように見え、さらなる研究によりこれら2つの節の種の区分にいくつかの変更がなされるべきであることが明らかになるかもしれない。

この節には次の種が分類される。
D.amethystoglossum, D.bracteosum, D.bullenianum, D.chameleon, D.chrysoglossum, D.cumulatum, D.guerreroi, D.miyakei, D.ophioglossum , D.secundum, D.smillieae, D.victoriae-reginae


2-4(16) sect. Calyptochilus カリプトキルス節
花はペディロヌム節の花と同じく、メンタムは長い。全体が細長い袋状で、リップの先端部が内側に巻き込んでおり、同時に切れ込んでいることで区別できる。主としてニューギニア高地に分布。ニューギニアには60種以上がある。これらのいくつかは西太平洋の島々にもある。この節は1905年にSchlechterがペディロヌム節から分離したもの。

この節には次の種が分類される。
D.lawesii, D.subclausum(D.dichroma, D.mitriferum, D.phlox), D.mohlianum, D.aemlans, D.wentianum


2-5(17) sect. Oxyglossum オクシグロッスム節
sect. Cuthbertsonia カスバートソニア節を含む。
植物体は小形で、茎も短く先端に2-4個の革質葉をもつ。花はペディロヌム節に似るが、リップに切れ込みがなく、子房に翼があり、子房の断面が三~十角形。
ニューギニア高地に分布。

この節には次の種が分類される。
D.coerulescens, D.uncinatum, D.violaceum


2-5-2(18) sect. Cuthbertsonia クスベルトソニア節
葉の表面全体に乳頭状突起をもつ特徴的なグループ。
花はペディロヌム節に似てメンタムは長い。開口部はさらに大きく開く。植物体は小形。
主としてニューギニア高地に分布する。

この節には次の種が分類される。
D.cuthbertsonii


2-6(19) sect. Breviflores ブレヴィフロレス節
sect. Brachyanthe を含む。


2-6-2 sect. Brachyanthe ブラキアンテ節
植物体は多形で、細長い茎をもつものや短い茎をもつものもある。花は短い総状花序につくか、節に不規則につく。リップは3裂し、内側に軟毛がある。メンタムは短い。
インドに分布するものが多い。

この節には次の種が分類される。
D.aduncum, D.hercoglossum


2-7(20) sect. Stachyobium スタキオビウム節
茎は多肉で普通小さく、草質の葉を多数つける。葉鞘は無毛。花茎は葉のある茎、又は落葉した茎の先端近くから出て多数の花をつける。リップの先は房状で、無毛。東南アジアに分布。

この節には次の種が分類される。
D.compactum, D.confinale, D.delacourii, D.denudans, D.eriiflorum, D.venustum


2-8(21) sect. Fytchianthe フィチアンテ節
少数種からなる落葉性のグループ。
インド、スリランカ、ボルネオに分布する。
花は基部に向いて毛深く、一部がフォーモサエ節に一致するが、花の大きさと構造の違いで分けられる。


2-9(22) sect. Phalaenanthe ファラエナンテ節
多数の美しい花をつける。一般にデンファレ系と呼ばれるグループの代表的節である。
メンタムが2重になっていて、花弁は広く、ねじれない。リップの内側に乳頭状突起をもつ。
オーストラリア、ニューギニアを中心に分布する。

この節には次の種が分類される。
D.affine, D.bigibbum, D.phalaenopsis, D.williamsianum


2-10(23) sect. Eleutheroglossum エレウテログロッスム節
少数種からなる。
茎は太く短く、葉鞘も短い。花は茎頂部から出る花茎に多数つく。花弁は狭く、ねじれる。スパチュラ-タ節とよく似る。
オーストラリア、ニューギニアを中心に分布する。

この節には次の種が分類される。
D.fellowsii


2-11(24) sect. Spatulata スパチュラ-タ節
以前は sect. Ceratobium ケラトビウム節として知られていた。
植物体は茎葉ともに強壮。茎頂部から出る花茎に多数の花をつける。花弁は狭くねじれ、しばしば直立する。リップの先は切れ込まず、つまりアンテロープ型の花をもつ。オーストラリア、ニューギニアを中心に分布。

この節には次の種が分類される。
D.antennatum, D.capra, D.cincinnatum, D.conanthum, D.discolor , D.gouldii , D.johannis, D.lasianthera, D.mirbelianum, D.stratiotes, D.strebloceras, D.taurinum, D.violaceoflavens, D.carronii, D.canaliculatum, D.nindii, D.trilamellatum


2-12(25) sect. Trachyrhizum トラキリズム節
少数種からなる。パプアニューギニアに分布する。
リップがバルボフィラム属のような可動性を持ち、根に特有な柔軟小突起がある。

この節には次の種が分類される。
D.agrostophyllum


2-13(26) sect. Distichophyllum ディスティコフィルム節
常緑性の葉が細長い茎に密に2列に並ぶ。花は葉腋から1-3個生じ、白又は黄色で地味である。リップの先は尖らず、切形である。

この節には次の種が分類される。
D.revolutum, D.uniflorum


2-14(27) sect. Formosae フォーモサエ節
以前はsect. Oxygeniantheオクシゲニアンテ節とかsect. Nigrohirsutaeニグロヒルスタエ節として知られていた。
葉鞘部に褐色又は黒色の毛をもつ特徴的なグループ。茎頂近くに大きな白色花をつける。メンタムは長く尖る。
アジア大陸を中心に分布する。

この節には次の種が分類される。
D.bellatulum, D.cruentum, D.dearei, D.draconis, D.formosum, D.infundibulum, D.longicornu, D.lowii, D.margaritaceum, D.sanderae, D.scabrilingue, D.schuetzei, D.sutepense, D.trigonopus, D.williamsonii, D.cariniferum, D.xanthophlebium


2-15(28) sect. Amblyanthus アンブリアンツス節
8種程度が主にニューギニアに分布し、他にはマレーシアに1種分布する。
短い花茎を覆う包みのような鞘が特徴。


2-16(29) sect. Kinetochilus キネトキルス節
少数種からなる。ニューカレドニアに分布し、リップがバルボフィラムのような可動性から分けられた。


3 subgenus Rhopalobium
ロパロビウム亜属(全1節)
 

3-1(30) sect. Rhopalanthe ロパランテ節
茎は非常に特徴的、最下部と上部は薄くかなり細い、基部近くの1-4節は太る、長いものは1mにまでになる、下垂する。葉は多肉質、中には細く棒状のものもある、茎の中程までに限られている、基部と頂部は葉鞘だけを生じる。花序は非常に短い、葉のない茎の頂部の部分に花を生じる。花は、セパルとペタルは似る、リップは3列し表面に目立つ隆起がある、短命。
この節は最初はインドネシア、マレーシア地域の種だけであったが、ヒマラヤまで広がっている。ボルネオには20種が記録されている。(S.Schelpe & J.Stewart)

この節には次の種が分類される。
D.batanense, D.blumei, D.crumenatum, D.equitans, D.exile, D.junceum, D.linearifolium, D.lomatochilum


4 subgenus Xerobium 
クセロビウム亜属(全11節)
 
4-1(31) sect. Aporum アポルム節
葉が2つに折り重なったまま癒着し、肥厚している。これらの葉は密に互生し、茎は外からは見えないことが多い。花は非常に短い花茎を出して次々と咲き、苞より短い。
この節は、ビルマが中心でそこにはおよそ25種ある。他には、マレーシア、インドネシア、ボルネオに見られる。Oberonia属に似る。(S.Schelpe & J.Stewart)

この節には次の種が分類される。
D.acinaciforme, D.aloifolium, D.anceps, D.aporoides, D.distichum, D.grande, D.indivisum, D.leonis, D.nathanielis, D.rosellum, D.terminale


4-2(32) sect. Oxystophyllum オクシストフィルム節
葉はアポルム節によく似て、平板な形が規則正しく互生するが、アポルム節よりも細い。
花は瓦状に重なった包葉に短い花梗を一つ出して咲く。リップの縁にある小さな突起の存在でアポルム節と区別する。
東南アジアに広く分布する。

この節には次の種が分類される。
D.concinnnum


4-3(33) sect. Grastidium (Bl.)J.J.Smith グラスティディウム節
茎は長く屈曲し、草質の葉をつける。葉を有する部分に花がつく。葉鞘は無毛。花はかたい扁平な苞から2個づつ出て茎に直角に咲く。1日花。
分布は東南アジアの全域に広がり、種類数は属の中でもっとも多いとも言われる。
Grastidium 節は、1825年にBlumeがジャワの3種から成る属として設けた。1830年にLindleyは、Dendrobiumに移した。

この節には次の種が分類される。
D.baileyi, D.bambusifolium, D.cancroides, D.indragiriense, D.isomerum, D.luteocilium, D.somai, D.salaccense, D.tozerensis


4-4(34) sect. Dichopus ディコプス節
茎は細く直立し、肥厚した葉をつける。花は一日花。柱頭の先に動きやすい付属体をつける。

この節には次の種が分類される。
D.insigne


4-5(35) sect. Eriopexis エリオペクシス節


4-6(36) sect. Pleianthe プレイアンテ節


4-7(37) sect. Macrocladium マクロクラディウム節
これはニューカレドニアの植物の節で、ほとんどの種は土に生えている。
茎は細い、長く伸びる枝を付ける。葉は細い、全体に互生で2列に整列している。セパルとペタルは似ている、リップは3裂する、側裂片は目立ちその表面に沿っていくつかの筋がある。
ニューカレドニアの種に加え、ニュージーランドに着生種のD.cunninghamii Scgltr.がある。(S.Schelpe & J.Stewart)


4-8(38) sect. Dolichocentrum ドリコケントルム節


4-9(39) sect. Conostalix コノスタリクス節
以前はディスティコフィルム節に位置したが、乾いた針金状の茎と細い葉と毛深い葉鞘によって区別された。
葉の多い茎の節に地味な色の小花が単一あるいはペアで咲く。
分布はビルマからオーストラリアにかけて広がり、ボルネオでは約10種が知られている。

この節には次の種が分類される。
D.lobbii, D.pachyglossum


4-10(40) sect. Monanthos モナントス節
ポリスタキア属を思わせる逆さ向きの花で識別される。
パプアニューギニアと北東オーストラリアに分布する。

この節には次の種が分類される。
D.malbrownii, D.agrostophylloides


4-11(41) sect. Herpethophytum ヘルペトフィツム節



その他の節

sect. Strongyle ストロンギレ節
この節は、ロパランテ節3-1(29)とアポルム節4-1(30)の中間であろうといわれている。ロパランテ節と違い、茎の下部の膨らみを欠くが、茎の上部に葉のない部分があることは共通している。ただし、ロパランテ節ほど長くはない。葉はアポルム節に似て扁平かたいていは円筒状の肉質である。花は茎の上部の葉のない部分に咲く種が多く、花期はほぼ1日が多い。分布の中心はインドネシアで、フィリッピン、マレーシア、タイに広がる。

この節には次の種が分類される。
D.parciflorum, D.subulatum


sect. Calcarifera (参照/BORNEO(63)) カルカリフェラ節
細く、強く内側に曲がったフック状のメンタムと独特の全体がボートの形状をしたリップで上に曲がったトゲのような基部のカルスにより区別される。


Flickingeria属の歴史
Flickingeria属は、1825年BlumeはDendrobium属と異なるとしてDesmotichum属の名を用いた。
しかしながら、1961年にDendrobium属から分離されるまでの間、多くの学者はDesmotichumはDendrobium属の1つの節としていた。
分離独立に当たり、Desmotichumは他の属で使われていたため、A.D.HawkesはFlickingeria属として、P.F.HuntとVictor SummerhayesはEphemerantha属としてほぼ同時に発表した。今日では前者の方が先であると認められている。

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この記事へのコメント

  • tor

    すごいの一言です!
    一時期わが家にも多くのデンドロビウム有りましたが
    分類について考えたこともなかったです。
    最も育てていたのは妻ですが…
    セッコクは軽石に水苔で木の枝につるされてました。
    この種類はラン科の中では手がかからないと言ってました。

    ところで
    コメントありがとうございました。
    修正をしようと試みたのですが
    修正できないようです
    (私のスキルが低いからかも?)
    削除はできるようです。
    修正願いの方を削除しましょうか?
    せっかくのコメントなので最初いただいたものは
    削除するには忍びないのですが。
    2019年09月11日 19:26
  • わけい

    torさんへ
    コメントどうもありがとうございます。
    花屋さんや園芸店で販売されているデンドロビウムは、改良品種である園芸品種で、原種のまま手に入るのは山取りのセッコク程度だと思います。
    「木の枝につるされて~」は実に適切な気がします。
    デンドロビウムの園芸品種は世界的に有名な山本二郎さんという育種家が岡山におられ、とてもきれいな花を咲かせるデンドロビウム属のデンドロビウム節の色々な品種登録をされていました。私もこの方の品種をよく買いました。
    1992年に発行された本には、山本さんの紹介文に「現在、欧米各国で栽培されているデンドロビュームの品種の約80%は氏の作出したもの」と書かれていました。
    なお、コメント修正の件ではお騒がせしました。
    修正に関してはtorさんのブログのコメントに書かせていただきました。
    なので、ここでは省略させていただきます。
    2019年09月12日 10:28
  • グランドマザー2

    こんばんわ^@^

    すごーいですね  グランマにはそれしか言いようがないです
    デンドロビウム大好きな花の一つです
    我が家にはピンクの花の色がありますが花の咲くのをたのしみにしています
    2019年09月12日 20:24
  • わけい

    グランドマザー2さんへ
    コメントどうもありがとうございます。
    グランドマザー2さんもデンドロビウムがお好きですか。
    花芽が付くと嬉しいですね。ピンクの花が綺麗に咲くといいですね。
    2019年09月12日 21:25