ピタゴラス音律と黒鍵の関係

ピタゴラスが音律を作った
「ドレミファ・・・」という音名は、11世紀に出来ましたが、
そのドレミファのもとになった音律は、紀元前500年前に、ギリシアのピタゴラスによってが作られていました。

ピタゴラスは、直角三角形の3辺の長さが「a2+b2=c2」のピタゴラスの定理で有名な人ですね。このころギリシアでは数学や音楽まで色々考えている人がいたのですね。当然他の学問も盛んだったのでしょうけど・・・
ほぼ同時期に、日本は弥生時代で初代神武天皇辺りの時代だそうです。

ところで、「ドレミファ・・・」の名前が出来るまでは、音の低い順に「A,B,C,D,・・・a,b,c,d,・・・aa,bb,cc,dd,・・・」といっていました。


音律はどうやって作られたか
音階のもとになるのが音律なのですが、音の高さの相対的関係を、数学的や音響的に規定したもののことを音律といいます。

現在では振動数によって規定できますが、当時はまだ振動数などを測定は出来なかったので、振動数という言葉は使用しなくても、弦の長さなどの比率は振動数と反比例関係にあり一体的なので、弦の長さなどを用いた比率によって決められたようです。

比率をどのような原理に基づいて規定するかによって、色々な音律が出来ます。
古代ギリシアでは、振動比3/2の完全5度を重みかさねることによって音律が考えらました。

その音律は、ピタゴラスが作ったので「ピタゴラス音律」といいます。
ピタゴラスが音律を作った方法は・・・

1本の弦の長さの音を基本にして、
この音を「ド」とし、ちょうど弦の半分の位置の音を出すと、(高い)「ド」と同じ音に聞こえます。
この低いドと高いドの音の間を、後に1オクターブと定義されました。
※当時はまだドレミ・・・の音名はありませんが、説明上ないと不便なので使っています。

この1オクターブの中で、心地よく聞こえる音を探すと、ある地点で協和する音があります。

その地点は、「ド」の音を起点に弦の長さの2/3の位置が非常に心地よく聞こえる音が出るところです。
その位置は2/3であると同時に、1/3の位置でもあります。
この位置の左右の音は、ちょうどオクターブ違いの同じ音になる位置です。
1/3:2/3=1:2でオクターブの関係ですね。

弦の長さを2/3にすると、周波数は反比例の関係なので、音は3/2高くなります。

弦の長さの2/3の位置の音を「ソ」とし、それを起点にして又2/3の位置を「レ」とし・・・
これを何度も繰り返すと、心地よく聞こえる音をどんどん作ることができます。

こうして作られた音は、そのままではどんどん高くなって数オクターブの範囲に広がっています。
music-3943322_1920.jpg
HeungSoonによるPixabayからの画像


作った音を1オクターブに収める
弦の長さを2/3倍にするたびにその位置の音は、そのたびに反比例して周波数は3/2倍になりどんどん高くなり、 オクターブの範囲を超えることになります。

そこで、オクターブの範囲に収まるように弦の長さを2倍にする、その時の周波数は1/2になります。
それでもまだオクターブを超えている場合は、同じ作業を繰り返す。
※弦の長さを2倍にしても、1/2倍にしても、どちらもオクターブが違うだけで同じ音に聞こえます。

こうやって「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7音と、
「ド♯・レ♯・ファ♯・ソ♯・ラ♯」の5音を合わせて、1オクターブの12音を創りだされました。
音の種類が12種類存在する理由は、ここにあります。

※といっても、ピタゴラスの時代は、作られた12の音をすべて使うようなことはなく、せいぜい4音程度の音楽だったと推測されています。
何しろこの時代には、まだ楽譜というものがなかったようで、現存していません。
また、♯や♭が作られたのは、ドレミファの音名が作られたのちの時代です。

作りだした音の順番は、「ドレミ・・・」の順ではなくて、ドを起点にして5度づつ高い音の順番で作って行き、
それらを1オクターブに収まるように2の倍数で割り算して、
それを音の低い順に並び替えると、「ド→ド♯→レ→レ♯→ミ→ファ→・・・」となります。


ピタゴラス音律のキーワードは5度圏
Cの音からスタートした5度圏のすべては、「C → G → D → A → E → B → F♯ → C♯ → G♯ → D♯ → A♯ → F (→C)」の12音で1周します。
Cの一つ前のFからスタートして連続したオクターブの7音の部分を切り取ると、
 F → C → G → D → A → E → B (5度圏の音の配列) 」
となります。
※なお、どの音からスタートしても、その音の左右の音の比率は同じですが、♯が付かない方がわかりやすいため、このようにしました。

これだと♯も♭もない音の配列になります。
この音の順番は、5度圏といって現在でも非常に重要な役割を果たしています。
五度圏は、どの音を基点にしても左右の音の関係は5度の完全音程の関係にあって、さらに時計のように12の音が一周して繋がっていることに由来しているのでしょう。時計回りに五度音程づつ進む感じですね。

ちなみに、音階のドレミファ・・・は「C D E F G A B」です。
これが円い輪になって繋がっている(Bの右側はCに繋がる)と仮定して、Cからスタートして完全5度音程(3つ飛ばし)で時計回りに進むと、「C → G → D → A → E → B → F → C」となり、5度圏の順と同じになります。


曲のコード(和音)進行は、5度づつの順番の音を基音にしたコード進行と一致しています。
例えばキーがCだと、Cの前後のFCGの3つが基音のコードとなります(他のキーでも同様)。


なぜ12音のうち♯が付くのが5つ、付かないのが7つなの?
12音の音が存在するのは、ある音を基準に1.5倍するのを繰り返して(2倍を超えるとそれをオクターブ内に収めるため2nで割り戻した)結果出来たことは以上で説明しましたが、ところで、なぜ12音のうち♯が付くのが5音で付かないのが7音なのか?疑問に思いませんか。
これは♭に関しても同様です。

その理由は次のように説明できます。
12音のうち「C音とF音」は「B音とE音」に♯を付けたものと同じ音ですね。
また、逆に考えると「B音とE音」は「C音とF音」に♭を付けたものと同じ音です。

この場合は、♯や♭が付く音が7つ、付かない音が5つと逆転してしまいます。
丁度半々の6つずつにするためには、「E音」の方に♯を、「C音」の方に♭を付いていると、考えると目的を達します。

♯の場合:6つ~嬰へ長調では「E音」の方に付く。
7つ~嬰ハ長調では「B音とE音」の両方に付く。
♭の場合:6つ~変ト長調では「C音」の方に付く。
7つ~変ハ長調では「C音とF音」の両方に付く。
※♯や♭が付く順番があります。♯は5度圏の時計回り(E → B)、♭は5度圏の反時計回り(C → F)となります。

現実に譜面上はちゃんと調号には♯や♭は最大で7つまで存在します。
しかし、白鍵と黒鍵の区別のあるピアノの場合は、白鍵7つと黒鍵5つはいくら考え方だけを変えても変化しません。

譜面上は♯・♭は7つまで存在しても、実用的には5度圏やピアノのように音の種類は♯・♭が付かない音が7つで付く音は5つだと考えた方が整理しやすいです。


ヨナ抜き音階
Cから始まるCGDAEの5つの音は、ヨナ抜き音階(4度と7度の音抜き)といって、
日本を含めた英米の曲で古くから現在に至るまで、よく使われている音階です。

蛍の光(原曲はスコットランド民謡)、夕焼け小焼け、赤とんぼ、アメイジング・グレイス(黒人霊歌)、結婚しようよ(吉田拓郎)などはヨナ抜き音階で作られているそうです。

「ヨナ」とは、4と7のことで、4度と7度の音を抜く・ピアノの白鍵の4番目と7番目の音を抜く→つまりC音を1度として、F(4度)とB(7度)の音を抜くことに由来しています。


ロックなどでよく使われるペンタトニック音階(5つの音の音階)は、まさにこれと同じものです。
ビートルズのレットイットビーやオクトパスガーデンなどの間奏はヨナ抜き音階(=ペンタトニック音階)で演奏されています。


ピアノの黒鍵の音階
ピアノの黒鍵はペンタトニック音階になっているって知っています?
F♯の位置からスタートすれば、ぴったし一致します。

F♯からスタートした黒鍵は、「F♯、G♯、A♯、C♯、D♯」の順です。
これは、Cから始まる「C、D、E、G、A」のヨナ抜き音階(ペンタトニック音階)と同じ関係で、しかも、5度圏と同じ関係なんです。

なぜ、同じ関係かの説明です。
①「F♯、G♯、A♯、C♯、D♯」を半音ずつ下げると、「F、G、A、C、D」となる。
②「F、G、A、C、D」を各音を5度上げると、「C、D、E、G、A」のペンタトニック音階となる。
③「C、D、E、G、A」をCからスタートして完全5度音程の順に並べ替えると「C、G、D、A、E」の5度圏の順になる。


もっとも、ピタゴラスの12音の順番のF#の位置から5つの音を見れば、一発で理解できます。
5度圏は「C、G、D、A、E、B、F♯、C♯、G♯、D♯、A♯、F」の順ですから、「♯」が付いた音の部分だけを見ると、
「F♯、C♯、G♯、D♯、A♯」であり、F♯音をスタートに低い音の順番にすると「F♯、G♯、A♯、C♯、D♯」だと分かります。
これはまさに黒鍵と同じ音になりますね。


ほぼ黒鍵で弾くねこふんじゃった
「ねこふんじゃった」の曲は、楽譜を見ないでも簡単に弾けるようになるそうです。
意外ですが、逆に楽譜を見ると♭が沢山ついているので難しく感じるようです。

楽譜にはフラットが6つも付いています。変ト長調です。
ということは、フラット6つ=シャープ6つなので嬰へ長調でもありますね。

※「♯+♭=12」の関係になっています。
ただし、音は7つしかないので譜面の調号としては7が限度ですが、理論上は8+4=12や10+2=12の関係もあり得ます。
ハ長調は♯も♭も0ですが、理論上は「0+12=12」の関係でもあるのです。
ド♯♯、レ♯♯、ミ♯、ファ♯♯、ソ♯♯、ラ♯♯、シ♯で、♯の合計が12個です。
でも譜面の調号としては同じ音に♯を2つ付けることは出来ません。
しかしこの状態は、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドになりますね。
ドからスタートすれば、ちゃんとドレミファソラシドです。(♭の場合も同様ですが省略。)

実用面からすると、調号の♯や♭の数は少ない方が演奏しやすいですね。
♯が6個の場合は♭も6個なので作曲者の好みになるでしょうが、♯が7個のときは嬰ハ長調として使うことは出来ますが♭5個の変ニ長調の方が少なくていいですね。♯が8個になると調号として使えませんし♭4個の変イ長調の方がいいのは明白ですね。

ところで、黒鍵は5つしかないのに「♯や♭が6つ」はどういうことでしょう?

変ト長調の場合は、ファ以外の音には全て♭が付きます。
ということは、ドにも♭が付くのでこれはシの鍵盤を弾きます。
つまり、黒鍵5つと白鍵のファとシの7つを使えば「ねこふんじゃった」を弾けます。

嬰へ長調の場合は、シ以外の音にはシャープが付きます。
ということは、ミにも♯が付くのでこれはファの鍵盤を弾きます。
つまり、黒鍵5つと白鍵のファとシの7つを使えばOKで、結局は変ト長調と同じということですね。

※ネットでねこふんじゃったの楽譜を見ると、ラ♭(=ソ♯、G♯)の音が使われていないので、実際には4つの黒鍵しか使っていないようですね。
※私は、楽譜を見ないと分からないので、変ト長調の楽譜を見ながら、半音上げてファだけに♯を付けたト長調で、ギターで弾いてみました。
単に、全ての♭を無視してファにだけ♯を付けて弾けばいいので、難しくはないです。

※ピタゴラス音律の部分は「音律と音階の科学」小方厚著の本を参照してまとめました。

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この記事へのコメント

  • tor

    こんばんは。
    ピタゴラス音律?
    ピタゴラスの定理?
    読んでみるとピタゴラスの定理のピタゴラスでした。
    驚きです。
    当時はいろんな分野まで数学が…
    意外性があって
    使えるネタですね。
    2019年09月18日 19:56
  • わけい

    torさんへ
    お早いコメントどうもありがとうございます。
    取敢えず投稿して、食事を終えて、さあ誤字脱字、てにおはの見直し、レイアウトや補正すべき点などをチェックしようかと思っていたら、もうtorさんからコメントを頂いておりました。
    昔は学問は全て哲学の範疇だったので、ピタゴラスは数学のみならず、万物全ての仕組みを考えていたそうです。(他の人物も同様)
    後に学問(=哲学)が専門化するにつれ、学問を分けて、学科つまり科学ができたらしいです。
    日本や中国には哲学という概念が無かったので、明治になって西周がphilosophiaの訳語として哲学という言葉を作ったそうです。
    昔の人はphilosophia(直訳すると「知を愛する」)において境界などなしにわからないことを学問していたようですね。勉強じゃなくて学問という点に注目ですね。
    音律は感覚で作られたのではなく、数学や音響の面から作られていたということには、驚きがありますね。
    なぜ1オクターブの中に半音と全音の部分があるのか?ということもピタゴラス音律から導き出されていたのですね。
    2019年09月18日 22:33
  • ゆの

    わけい様
    こんにちは(^^)
    日ごろ、三弦をD(レ)G(ソ)D(レ)
    D(レ)A(ラ)D(レ)に調弦しています
    何気なく使っている音階も
    最初があったはず
    起源のはるか昔にビックリです~

    先日、わけい様の記事をさかのぼって拝見していたら
    観葉植物?が脱皮している姿にこれまたビックリしました♪
    2019年09月19日 12:34
  • わけい

    ゆのさんへ
    ゆのさんは三弦をされているのですね。
    その調弦は「D-G-D」か「D-A-D」とのこと、この関係はちょうど完全5度音程(or完全4度音程)の関係になっていますね。驚きました。
    三弦はフレットがないのでその分、難しいそうですね。特に高い部分の音は勘ですかね。
    三弦の開放弦の音は完全音程の関係なので調和して聞こえるようになっていたのですね。
    過去記事まで見ていただきありがとうございました。
    脱皮だときっとリトープスの記事ですね。
    2019年09月19日 14:57