モンティ・ホール問題:3つのドアの賢い選択

モンティ・ホール問題の色々なバージョンに何度か出会った
モンティ・ホール問題は、モンティ・ホールが司会者を務めるアメリカのゲームショー番組、「Let's make a deal」の3つのドアのうちの1つにある賞品を当てるゲームに由来するものです。

登場人物は、司会者とプレーヤーの2人だけですが、そのゲームのルールは・・・
■ゲームのルール
①3つのドア に、景品1つとハズレ2つがランダムに入っている。
②プレーヤーはドアを1つ選ぶ。
③司会者は、残りのドアのうち1つを必ず開ける。
④司会者の開けるドアは、必ずヤギの入っているドアである。
⑤司会者は、プレーヤーにドアを選びなおしてよいと必ず言う。

景品とハズレは何でもいいのです(新車と洗剤、金塊とティッシュ、100万円と空っぽなど)。
司会者は、モンティ・ホールです。
プレーヤーは、視聴者から選ばれた人です。
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3つのドア!どれか1つに豪華な賞品が


ニュース雑誌の投稿が発端に
1990年9月9日発行、ニュース雑誌に読者投稿質問があった。
その内容は・・・
プレーヤーが1つのドアを選択する。
その後、司会のモンティが残りのドアのうちハズレのドアを開ける。

すると司会は言う。
「最初に選んだドアを、残っている開けられていないドアに変更してもよいですよ」と。
さて、プレーヤーはドアを変更すべきでしょうか?
というものでした。

このニュース雑誌のコラム担当者は、読者投稿質問に対し次のように回答しました。
正解は「ドアを変更する」です。
なぜなら、ドアを変更した場合には景品を当てる確率が2倍になるからです。
との回答内容でした。


回答を巡って大議論に発展
すると雑誌での回答直後から、読者からの「コラム担当の解答は間違っている」との約1万通の投書が殺到し大議論に発展しました。
その多くは「ドアを変えても確率は2分の1であり、3分の2にはならない」とするものだったようです。

コラム担当は「ドアを変えれば勝てるのは3回の内2回、負けるのは3回の内1回だけ、しかしドアを変えなければ勝てるのは3回の内1回だけ」と反論しました。
しかし、その反論の回答にさらに反論するする投書がほとんどでした。


ドアの数を100万個にした例で説明
そこで、コラム担当は、ドアの数を100万に増やした例を挙げて説明しました。
ドアが100個あれば、最初に選んだのが当たる確率は1/100万で、残るドアの方が当たる確率は99万9999倍。
これならどちらを選ぶかは明白だ、と。


しかし、この100万個のドアの説明で疑問は残ります。
確かに、100万個なら最初のドアが当たる確率は1/100万ですが、少しづつドアの数を減らすにつれて当たる確率は上がっていきます。
そして、最終的に1/2にどんどん近づいて行きます。

この最終が1/2なのかどうかが議論の焦点です。
コラム担当は、最終が1/3だと主張しています。
残りが2つになっても1/3だと主張しているのです。

100万は1億でも1兆でも、最終が2個のドアに向かって集約して行こうとしている点は全く変わりません。
※そもそも、100万個のドアの場合、残りの99万9998個のドアを同時に開けてくれるかどうかは、まったく触れられていません。
1つづつ開けるのか、一気に開けるのか、途中で打ち切りになるか、全く分かりません。


最近いくつかの本で同内容の問題に出会った
モンティ・ホール問題は少しずつ形を変えて、色々な著書でも取り上げられています。
部屋の本を探したら①~③が見つかり、手元にあります。④は数十年ぶりに行った図書館でメモったものです。
①確率の話(P94)野口哲典著~3つの箱、当たりは1万円の商品券
②雑談力(P60)百田尚樹著~3つの箱、3つの箱、当たりは商品
③算数パズル出しっこ問題傑作集(P47)仲田紀夫著~3つの箱、当たりは100ドル
④Newton 2019-04(P70辺り)ニュートンプレス社発行 3つの箱に当りが1つ
いずれも、1つ箱を開けた時点で選択を変更すると当たる確率が上がると書かれていました。


中にはコンピュータでシュミレーションしたものも
アンドリュー・ヴァージョニと言う人が、モンティーホール問題をモンテカルロ法を使ってコンピュータで数百回のシミュレーションを行って調べたようです。
結果は、ニュース雑誌のコラム担当の回答に一致したようです。

しかし考えてみてください。コンピュータの計算は間違いはないはずですが、そもそもモンテカルロ法を使ってシュミレーションしたことが適切だったかどうかに疑問を感じます。

モンテカルロ法はよく知らなかったので調べてみると、元々は、中性子が物質中を動き回る様子を探るために考案された手法だそうで、乱数を用いた試行を何度も繰り返すことにより近似解を求めるものです。
何度も繰り返してやっと近似値を得るという手法が、たった1回しか変更を認められていないモンティーホール問題の解決に役立つとはとても理解できません。

他の手法を用いてプログラミングしてコンピュータに計算させても、はたして同じ結果になるでしょうか?


結局最初に戻りますが
上でお話ししたように、ドアや箱が100万でも1億でも1兆でも、最終的に2つに向かって集約して行くので、結局は3つの選択肢から始まったのと話の本質は全く変わりません。
そこで、元に戻って3つのドアの話からです。

3つのドアのどれも当たる確率は1/3で同じです。
しかし、重要な点ですが、最初からどのドアを選ぼうとハズレの1つのドアは必ず明らかにされることが分かっています。
したがって、最初からドアは2つだったとも考えることが出来ます。

最初にドアを1つ選んだ時点で当たる確率は1/3で、残る2つのドアが当たる確率は1/3+1/3=2/3です。
司会がハズレのドアを開けることになっているので、その時点でハズレの1/3は消えますが、この消えた分の当たる確率が残りの方に自動的に移行すると決めてかかっています。
果たしてそうでしょうか?どちら側に移行するかは、1/3の半分は選択したドア側に、そして1/3の半分は残ったドア側に移行するとも考えられます。

こういったことに関しては、残念ながらどの著書にもまったく触れられていません。


ベイズ統計学で説明する人が多い
ネット上では、この問題に関してベイズ統計学の考え方や用語を使って説明する方が多いのですが、ハッキリ言ってそのような説明では無理があると思います。
ベイズ統計学は、18世紀末ごろに考えられその後幾人かの手を経て発展してきましたが、あまり評価されてこなかったようです。
しかし、最近になってこの手法はAIに使えると評価され、その方面では期待されています。

超簡単にわかりやすく説明すると。例えば全く分からない問題に関して(全体が100として)「とりあえず50」と答え、それが外れたらハズレ具合を考慮して修正して「70」と答え、それでも外れたら次は「75」と答える・・・ようにして次第に正解に近づいて行く、つまりその分、全く分からない問題を学習したことになる。
そういったことを、何度も繰り返し、どんどん学習を積み重ねていく・・・といった感じだと思います。

これはこれで、AIなどをはじめとするこういった問題にふさわしい分野では大いに役立つでしょうし、こういった手法は大いに評価され、さらに研究・発展したらいいと思います。

しかし、1度しか変更の機会が与えられていない「モンティ・ホール問題」にこの手法が役立つとは思えません。

もし、プレーヤーが2人いて、片方が当たりのドアを、もう一方がハズレのドアを選んだ場合、コラム担当者が言うように、どちらも別のドアに変更するのが正解になるのでしょうか?

この場合は残りの一つのドアは確実にハズレなので、ちゃんと2つのドアが残ります。
この状態で当たりの確率は片方は1/3でもう一方は2/3だと、コラム担当者はこれに答えられるでしょうか?
絶対にいえないはずです。


陥りやすい3つの罠
コラム担当者の変更すべきを支持する多くの方は、次の3つのポイントの罠に陥っているようです。
■3つの罠
①100万個の事例
②コンピュータのシュミレーション結果
③ベイズ統計の事前と事後の確率変化

もしこれに一つ加えるとすると・・・
④ドアを開いたときの確率がとこに移動するか

これらの巧みな罠に陥っているように思います。
結構権威のありそうな方までもが、変更すると当たる確率が高まると述べているので、なおさらのことと思います。

※なお、「ゲームの理論」によく登場する「ナッシュ均衡」による解では、変更してもしなくても得られる景品の確率は1/2で変わらないそうです。ゲームの理論は、モンテカルロ法を命名したジョン・フォン・ノイマンの理論です。現在世界中で使われているコンピュータもノイマン型と呼ばれています。

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この記事へのコメント

  • tor

    あっ
    この話知っていますよ!
    確立の話として有名ですね。

    ところで
    「気持玉」復活しましたね。
    久々に「ポチッ」しました。
    2019年10月02日 19:08
  • わけい

    torさんへ
    この話はかなり有名ですが、その解説はどれも変更すべきになっていると思います。
    私は、そうではない旨を記事にしました。1冊だけ見たなら印象に残らなかったと思いますが、よく見かけてどの本も同じような解説で、本当に自分で考えた解説なのか、疑ってしまいました。百田尚樹さんまでが同様なことを書いていたので、つい記事に取り上げました。
    いつの間にか、気持ち玉が復活していたのですね。10/2に復活ということは知っていましたが、今日だったんですね。
    長いこと使わなかったのでそれに慣れて、無いのが普通のような気がしています。
    インスタグラムでいいね!マークの数の表示が無くなったことに昨日気づきました。いいねをポチッしても、その数はわからないのです。
    2019年10月02日 21:54