植物が水を根から吸収して高いところに運ぶ力

1 ヒトの呼吸は
口や鼻から入った空気は気管を通って肺に届きます。
でも、肺には筋肉が無く、自ら膨らんだり縮んだりしていません。

どうやって、息を吸ったり吐いたりしているのでしょうか?

肺を包んでいる胸腔や横隔膜がその役割を担っている。

胸腔は、ろっ骨とその間をつなぐ筋肉に囲まれた肺を包んでいる。
胸腔の底には横隔膜がある。

横隔膜が縮んで下がると、胸腔がふくらみ肺の中に空気が入り息を吸う。
逆に、横隔膜が伸びて上ると胸腔はしぼみ肺の中の空気が出て息を吐く。

また、取り入れた空気は心臓というポンプが血管を通じて体中に酸素を送る役割を担っています。
水や食料は手という装置が口の中に入れる役割を担っています。

ヒトには物質を取り入れ、必要な場所に送るために色々な装置が備わっています。
でも、植物にもそのような装置があるのでしょうか?

・・・鼻がつまって息苦しい中、ふと、そのようなことが思い浮かびました。


2 100mを超える木も
世界で一番高い木は115mを超えるセコイヤスギだそうです。
その木は2006年に米カリフォルニアの国立公園で発見されたとのことですので、アメリカは広くて人が行かないようなところが結構あるのですね。

問題は地上100m以上もあるところにどうやって水を運ぶのか?ですね。
5mぐらいの木なら不思議さは感じないのですが・・・
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植物は4つの力を利用して水を上に運んでいます。
① 根圧
② 毛細管現象
③ 蒸散作用
④ 凝集力

それでは、4つの力をもう少し詳しくみてみましょう。


3 ① 根圧(浸透圧)
植物の重量の80~90%は水です。
水はイオン濃度が薄い方から濃い方へ流れます。
根の外の水素イオン濃度より、根の細胞の水素イオン濃度の方が非常に濃いです。

したがって水は浸透圧の差により能動的に根の中に取り込まれます。
水をゴクゴク飲むようなことをしなくても、自然に入ってくる仕組みになっているのですね。
(もちろん、浸透圧の差が無くなれば自然と取り込みは止まります。)

根の中に水は入りましたが、そのままでは上には上がりません。

植物の内部には細い導管がありますが、浸透圧の差を利用した水の吸水力は、根から地上部へと導管を通じて水を押し上げる力として働きます。

植物に圧力計を取り付けて測定したデータでは、植物の多くは根圧が水を10~30m押し上げる力を持っているようです。

でも、根圧の力だけでは100mの高さは無理そうですね。


4 ③ 蒸散作用
水を吸い上げる力の中心的役割を担うのが、葉が気孔を開くことによって起こる水の蒸発=蒸散作用です。
蒸散によって葉の水分が失われると、葉の細胞液の濃度は枝や幹より高くなります。
そのため浸透圧が働き、枝や幹の水が引っ張り上げられます。

晴天日には、水の吸引力は高さ1mの植物でも、1MPa(100mの高さの吸引力)になります。
晴天が続くとその1.5倍以上の吸引力になることもあります。

①の根圧と③の蒸散作用により、根から水を押し上げ、葉が水を吸い上げる力により、水を根から茎・葉へとつながるようになっているのですね。

でも、それがすべてではないのです。


5 ② 毛細管現象と④ 凝集力
導管はとても細いです。
管が細いと②の毛細管現象の影響で水を上に運ぶ力が強くなります。
導管は親水性が高くしかも細いので、水が導管とがより多く接しているため毛細管現象は強い力になります。

さらに水分子はお互いに引っ張り合っている(=④の凝集力)ことで、①~③の力に加え水が導管の先に向かってあたかも水がつながっているように引っぱられています。

水分子は、水素結合によりお互いが引っ張り合っていて、結果的に繋がっています。
導管のような毛細管内では200気圧位(地上の気圧の200倍=20MP)の強い力があるらしいです。
これは信じられないぐらいの大きな力です。

このようにして、①~④の4つの力が合わさって、しかも繰り返されることによって、根から水が植物の上部にまで到達しています。
植物自体はそんな力のことは何も知らなくても、ちゃんと水を上まで届けている、実に見事なシステムになっているのですね。

他にも、呼吸、光合成、養分の吸収などなど様々なシステムが備わっているのですが、今回は水の吸収とそれを上に届ける仕組みで使われている4つの力についてのお話でした。


6 水を上にあげるときに邪魔なもの
以上説明した4つの力による水揚げを邪魔する現象があります。

切り花の例ですが・・・
ときに「水揚げが悪い」という現象があります。
これらの多くの現象は、
① 茎の切断面から導管に空気が入り4つの力が働かなくなる。
② 茎の断面が傷み腐敗して導管の吸水を妨げ4つの力が働かなくなる。

水揚げの悪い理由の多くは①か②です。

以下は効果のほどはよく分かりませんが、考えられることは、
①を防ぐ目的で、よく切れるハサミ・ナイフで水切りする、また、湯揚げや焼きあげをする。
導管が水に触れる面積を増やす目的で手折、根元割、根元たたき、根元削りをする。
※湯揚げ・焼き上げは導管内の水を膨張させて空気を押し出したり空気が入った部分を取り除くため。

②を防ぐ目的で、水換え、切り戻しやバクテリアの繁殖を抑えるための物質を入れる。
漂白剤や10円玉も腐食防止的。
白い液が出る植物は液が固まって導管をふさぐのを防ぐ目的で液を洗い流す。

①や②の目的以外に、灰汁取り目的で重曹を入れる、光合成不足による栄養補給目的で糖類を入れる。圧力をかけ吸水を補助する目的で深水にする。

などの工夫がなされているようです。

①や②の現象が(切り花でない)植物で発生すると一大事です。
①に関しては、一部の導管でたまにあるようですが、導管の数が多いので一大事に至ることはありません。
②に関しては、植物自体が対策を講じて備えていますが、もし備えを上回るバクテリアの攻撃や台風などの災害があったら、その枝あるいは幹は枯れてしまう可能性が高そうです、残念ですが。

水以外の理由もたくさんありますので、避難できない植物は大変厳しい環境下でのぎりぎりの生活で、植物の世界も大変そうです。

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この記事へのコメント

  • tor

    こんばんは。
    久々の更新ですね。
    風邪ですか?
    こちらは今日は寒さを感じる一日でした。
    年末からずっと暖かかったので
    とても寒く感じました。

    巨木を見るたびに
    梢まで水はどうやって届くのだろうと思っていました。
    いくつかは予想通りでしたが
    分かりやすくまとめていただき
    スッキリしました。
    2020年01月14日 21:27
  • わけい

    torさんへ
    コメントどうもありがとうございます。
    正月をはさんで、「松ちゃん」をしていました(サボってました)。
    いったんサボりだすと癖になってしまいます。

    鼻がつまるのは、風邪ではなく若い時から年中です。
    永いこと(中学の時から)耳鼻科通いしていましたが、薬の力で鼻の通りをよくすると一時的に改善しますが、直ぐに元に戻ってしまいます。それが年々ひどくなってきたので、10年前ぐらいから病院に頼るのはスパッとやめました。
    その後は薬も一切使わず我慢していましたが、次第に少しずつですが楽になって来たようです。でもときどき、両方の鼻づまりで口でパクパクしています。

    記事中のセコイヤスギは樹齢が600-800年だそうですが、屋久島の縄文杉に比べると孫の孫のようです。
    屋久島は台風の影響が大きいと思いますが、数千年も無事でいたことが奇跡のようです。(アメリカの木はハリケーンの来ない地域だそうです。)
    私は縄文杉にハグハグしてきましたが、手が足りませんでした。
    (現在は、近くまでしか行けないらしいですね。)
    2020年01月14日 22:20
  • ポジティブオーラ

    どうされているのか、き(気)にかかっていました。
    久し振りの更新、何時ものように私が普段気に止めない
    話題を掘り下げて記事にされているのを見て
    安心しました。
    樹木が水を吸い上げる仕組みも、人間が血液・体液を
    循環させる基本的な仕組みと似ている様に思いました。
    2020年01月15日 09:05
  • わけい

    ポジティブさんへ
    コメントどうもありがとうございます。
    正月があったせいか、少しサボったらそのままサボり続けてしまいました。
    書きたいことはいっぱいあるのですが、ほとんどが中途半端で未完に状態です。
    自分でほぼ分かった状態に満足して次に行ってしまい、そういったものが整理できないほどたまっています。
    考えてみると、説明するのに図が必要なことが多いですが、その図を作るのが億劫なのかもしれません。(ノートには手書きの図が描いてあるのですが、乱暴に描いたひどい図です。)
    この辺りを何とかしたいですが、いい方法がないかな・・・

    またまた、気持玉のお年玉を大量に頂きありがとうございます。
    2020年01月15日 23:55
  • フラバーバ

    115mを 超えるセコイヤスギなのに
    よくまぁ 今まで 気付いてもらえずに
    頑張ってきましたね。
    コンクリートの 隙間から 芽を出し 花を
    咲かせる小さな植物も凄いです。
    そう考えると 人間て ちっぽけで 弱いものですね。
    2020年01月17日 10:30